面接交渉権の実現と、養育費支払い(不払い)は、それぞれ別個の権利です。ですが、心情的にワンセットにして考える方が多いので、そうした問題点をQ&A形式で回答することにしました。


<養育費不払いと面接交渉権>

Q:平成10年に離婚しました。子供は二人。当時養育費は月に80,000円(1人に対し40,000円で二人分)貰っていました。 昨年今の彼との間に子供ができその旨を伝えると養育費は払われなくなりました 。彼とは、一緒には住んでいますが、籍は入っていません。 子供たちが名前が変わるのを嫌がったので分かってもらえるまでは 今のままにしておこうとなったのです。 見た目は普通の夫婦として生活しています。 この場合、元夫に上の二人の分の養育費は請求してもいいのでしょうか。子供は月に一回元夫に会っています。 私としては養育費も貰ってないのだから子供達に会わせたくは無いのですが・・・。会わせなかったら何か問題になるのでしょうか。

A:問題は2つありますね。一つは面接交渉権。もう一つは養育費不払い。それぞれ別個の事案です。養育費をもらっていなくても、子どもに父親と会わせる義務はあります。現行法では必ずしも厳密な罰則はありませんが、平成10年12月の静岡地裁浜松支部の判例によると、会わせてもらえなかった父親から、損害賠償請求が提起され、元妻は金500万円を分割して1年間で100万円ずつの支払いを命じられています。父親(非養育親)の自然権が再び、有力視されているのが現状です。子どもと父親を会わせないことは、母親(大人)のエゴだということを、どうかご理解ください。

さて、養育費不払いに対する対抗策としては、養育費条項をどういう文書に盛り込んだかによっても、かなり変わってきます。まさか、口約束ではないでしょうね。それだとほとんど効力がありませんから、直ちに、家裁で「子の監護に関する処分申立(養育費支払い)」の調停を行ってください。公正証書で養育費条項を盛り込んだ場合は、地裁に行き、仮処分の申請を直ちに行ってください。仮処分は1週間程度で認められます。仮処分が認められたら、直ちに強制執行(給料からの天引き・差し押さえ)を行ってください。調停調書や裁判調書がある場合は、直ちに強制執行ができます。ですが、その強制執行によって差し押さえられる金額は、元夫の所得能力に応じて、減額される場合もあります。


<養育親が再婚した場合>

Q:子供に対する養育費の件で質問なのですが離婚のときに念書という形で約束事を交わしました。子供に対する養育費として一カ月3万5000円と決めました。そこには18歳になるまでと書きました。現在、私は再婚をし、それを理由に前夫は養育費を支払いたくは無いと申し出を受けました。私は親の責任として支払いの義務はあると思い、家庭裁判所で調停をしています。再婚すると養育費は支払ってもらえないのでしょうか?

A:一つ確認したいのですが、お子さんは再婚相手と養子縁組されるおつもりですか。養子縁組をされないおつもりなら、お子さんと再婚相手との間には親子関係は発生しませんので、法律上は再婚相手にお子さんの養育義務はありません。したがって、養育義務を負うのは前の配偶者ということになります。もし、養子縁組をなさるのであれば、双方の収入などを勘案して減額されると思われます。再婚して、お子さんが、新しいご主人の養子になるようになりますと、養育費に支払いが減額されることは、よくあります。ただし、念書それ自体は有効ですので、その旨を調停でおっしゃるといいでしょう。免除はまずありえません。実際には、この調停は「減額交渉」になりかねませんが、元夫は子どもに対して、養育費を支払う義務はあります。なお、養育費は、あなたの権利ではなくて、お子さんの権利ですからね。くれぐれも、誤解なさらないでくださいね。


<別居の(形式上の婚姻が続いている)場合の面接交渉権>

Q:今は調停となり離婚寸前ですが、妻に子供を連れて行かれ、いくら連絡しても無視され子供に会うことができません。そのような権利は母親だからといってあるのでしょうか。私は相手の感情を考え、子供に会いたいけれどもひと月に一回10分ぐらいだけにしておこうと思い、2月6日に会ってから3月になるまで我慢していました。3月に入って妻の10分でもあけられる候補日をあげてくれればその中から決めるからと連絡しましたが、一切返答がありません。

A:これは配偶者のエゴです。まだ離婚が成立していませんから、あなたは、堂々と子どもに会うことができます。こういうことが続くようなら、あなたの方でも、親権者の請求をすることができます。離婚したご夫婦の場合でも、面接交渉の拒否に対する対抗要件は、親権者の変更になります。ですから、形式上は婚姻関係下にあり、共同親権を行使できるあなたの場合はなおさらです。


<配偶者が学生(無収入)の場合の養育費>

Q:主人は現在、学生で無収入です。協議離婚したいと思っていますが、旦那側に養育費をいくら請求したらいいのかわかりません。

A:配偶者が、学生であれば、なおのこと、調停離婚を勧めます。恐らく協議離婚だと、公正証書の作成まで、彼は認めないし、つきあわないでしょう。お子さんもいらっしゃるわけですし、将来にわたるお子さんの権利を、しっかり守るためにも、離婚調停に臨み、調停調書に、お子さんの権利を明記しておくべきですね。お二人とも、まだ若いから、傷つけあいたくない、と言う気持ちは、分かりますが、あなたは、お子さんの母であり、実社会で生きていく以上、責任はきっちり、つけなければいけません。調停調書を作成すれば、当然、法的拘束力が発生します。しかも、あとあと、養育費の不払いなどが発生したときに、対抗力を行使する証拠になります。ですから、多少、精神的にしんどくても、調停離婚を選択すべきです。

養育費は子ども一人あたり、大体2万/月〜5万/月が多いようです。養育費もその計算方式はありますが、結局の所は話し合いになりますね。概ね成年に達するまで支払う事を取り決めているようですが、最近では、大学卒業(22歳まで)支払う事も増えています。ですから、15歳まで●円、15歳から×円、高校入学時に△△円、大学入学時に▲▲円、とするのも1つの手かと思います


<内縁関係の場合の慰藉料と養育費支払い>

Q:私は5歳の子供の母親です。子供は主人により認知されています。主人とは6年前から同居・未入籍(事実婚)で、どちらもその他の相手(つまり不倫ではない、と言う事です)はいませんでした。結婚されている方は、離婚不受理の届など出したり離婚に同意しなければ別れる事はしなくて良いかと思いますが、私と子供は、金銭的に(慰謝料などが)要求できるだけなのでしょうか。

A:事実上、内縁関係ですね。内縁関係だと事実関係の認定が難しく、慰藉料の請求などは、かなり難しくなります。一緒に暮らした時の家計簿や、電気・ガス代などの領収票などはありますか。それを持って家裁を訪ねてみてください。場合によったら、慰藉料の請求が可能になるかもしれません。養育費に関しては、ご主人が認知していますから、請求は可能です。ただちに子の監護の処分(養育費支払い)調停を、家裁に起こしてください。受け取る養育費に関しては、いろいろなバロメーターがありますが、実際の相場は相手の支払いの能力に応じて、2万円から5万円(子ども1人あたり)で落ち着くことが多いようです。


<非養育親の経済事情の変更と養育費支払い>

Q:5歳になる息子に月4万の慰謝料を20歳になるまで払い続けるという約束を公正証書の下、取り交わしましたが、現在婚約者と一緒に住んでおり近々結婚の予定です。しかし、私は3月いっぱいで退職することになっています。その後の仕事はまったく決まっていません。私の収入がなくなっても月4万は絶対に払わなければならないのでしょうか。また、結婚した場合、彼女に払ってもらわなければならなくなるのでしょうか。

A:一番拘束力の弱い公正証書で取り交わしたとはいえ、契約は契約です。あなたには支払いの義務があります。再婚予定の婚約者の方は、支払い義務はありません。ただし、失業するわけですから、実際に所得能力が落ちるわけですし、減額交渉は可能かもしれません。そのあたり、家裁に行ってよくご相談ください。それから、あなた自身が再就職を果たして、所得能力を確保することも必要でしょうね。


<非養育費親の自己破産と調停申立地について>

Q:半年前協議離婚しました。家裁を通さず口頭の約束で婚姻時私が貸していた親から受け継いだ財産、養育費等を支払うという約束でした。それが3回ほど支払われて、元夫が失踪(しっそう)したのです。 口頭の約束で別れたのが失敗だったのですが・・・。その後、元夫は自己破産し貸していたお金の返還要求はできなくなりましたが、養育費は破産の対象にならないと聞き請求したいと思っています。ただ、相手は現在、東京にいるのです。私は関西に住んでいます。私が(調停を申し立てる方が)相手のいる場所の家裁まで出向き申し立てしなければならないのでしょうか。そうなると小さい子を2人も抱えてとても無理です。あと、差し押さえるにしても相手の生活も保障されるので20万以上の稼ぎがあって、そこから超えた分だけしかできないとも聞いています。その辺のことも教えていただけるとうれしく思います。

A:調停の場合は、民事調停法3条の規定により、原則相手の住所地で起こさなければなりません。また、残念ながら養育費は破産法366条の12の規定により、非免責債権とはされていません。とはいえ、養育費が免責されることは、実務上は、かなり稀なケースです。なお、民事執行法152条2項の規定により、差し押さえられる金額は給与の4分の1までです。その給与差し押さえの基準とされる金額は民事執行施行令2条に定めがあります。

調停の場合は、相手にいくら支払い義務があろうとも相手の住所地で起こすのが原則です。ですが、訴訟となれば民事訴訟法5条1号の規定により、義務履行地ということで子供の居所で訴訟をすることができます。

自己破産によって、既に発生した養育費については、免責されてしまうことも有り得ます。でも、これから発生する養育費については別です。また、破産宣告があっても、その旨をあなたに告げていなければ(告げられていなくても破産の事実を知っていたのなら別)、免責の対象とはならないので、その場合は、破産宣告があっても養育費を請求することができます。


<養育費不払いのために逃亡する元配偶者に対して>

Q:養育費などを支払わず失踪(しっそう)していた元夫の現住所が分かりました。調停の申し立てをしたいと思いますが家裁から用紙が届くとまた逃げるのでは・・・と思われます(その可能性のほうが高い)。このような場合どのようにすればいいでしょうか。相手の住所が分かったのに動けずにいます。

A:調停を起こしても無意味なことが最初から分かっているのならば、家事審判法18条2項但書に従って、いきなり訴訟を起こすことができるかもしれません。ですが、細かい事情がよく分からないので、一度裁判所に問い合わせてみたほうがよいでしょう。そして、訴訟提起が認められた場合、相手が逃げて家裁に出席しなければ、あなたの主張どおりの判決が下されます。あとは、その判決を持って、相手の住所を探し出していきなり強制執行をかければよろしいでしょう。職場が分かっているのなら給与差し押さえでも構いません。


<賃金カットで当初の養育費が払えない場合>

Q:昨年末、調停にて離婚が成立しました。養育費のことでお尋ねします。 毎月3万円支払うように決まりました。3万円ぐらいは支払えると考えて僕も返事いたしました。 二カ月払った時点で残業も減り給料が減給となりました。自分の食事代にも事欠くぐらいです。こういった場合は また調停へ申し立てても聞いてもらえるものなのでしょうか。電話も切りアバートも安い所へ変わる為、親に少しばかり借金しました。これ以上日々の生活のため親に迷惑をかけるのも心苦しくてなりません。よろしくお願い致します

A:元奥さんにはその旨お伝えになりましたか? 調停を申し立てること(養育費減額)は可能ですが、まだ時間がさほど経っていませんね。ですから、感情がささくれ立って、元奥さんと話し合いができない場合と、その逆に、できる場合が考えられます。もし話し合いができるのなら、元奥さんと相談した方がいいでしょう。

 でも、話し合いができない場合は家裁で減額交渉に臨むことになりますね。調停の申し立てはできます。あなたの現在の所得水準と実質可処分所得、さらに必要経費や食費などを計算した家計のバランスシートを持って、調停に臨んだらいかがですか。